コラム

あなたがこれまで指導してきたピラティスの動きが、
アナトミートレインを知ることで“劇的に効く”ようになります。
クライアントの「動きの変化が早くなる」
「原因不明の不調が改善する」
「指導が的確だと驚かれる」
そうした成果を、たった一つの“視点の追加”で得られるのです。
そのカギとなるのが、「筋膜(きんまく)」です。
ピラティスでは「コア」「アライメント」「コントロロジー」などのキーワードが使われますが、
それらを本質的に支えているのが、筋膜という“つながりの組織”です。
筋膜とは、筋肉や臓器、骨などを包み、全身を立体的につないでいる結合組織。
この筋膜を通して、私たちの体はまるで一本のウェットスーツのように連動して動いています。
トーマス・マイヤーズが提唱した「アナトミートレイン」では、
この筋膜の“張力”と“流れ”に着目して、体を12の筋膜ライン(Myofascial Meridians)に分類。
つまり、「筋肉」単体で見ていたものを、
「ライン(線)」として全体で理解するという新しい視点を与えてくれたのです。
ピラティスの動きは、体の内側から外側まで、まさに筋膜ラインをたどるように動かしていくワークです。
たとえば、「ロールアップ」や「スパインストレッチフォワード」などの動きでは、
背面の筋膜ライン(スーパーフィシャル・バックライン)がしなやかに働くことが求められます。
でも、そのライン上のどこかに「張り」「滞り」があると、動きがブレーキをかけられたように止まってしまう。
結果、「脚は強いのに、なぜか前屈ができない」「腹筋が入らない」というケースが出てくるわけです。
そこでアナトミートレインの視点が活きてきます。
たとえば…
肩こりを訴えるクライアントに、首肩ではなくハムストリングスを緩めたらスッと楽になった
体幹が抜ける原因が、足底筋膜や足指の癒着だった
回旋が苦手な人に、対角線の螺旋ラインを意識させたらスムーズになった
こうした “点ではなく線で動きをとらえる” 指導ができるようになるのです。
ここで、特にピラティスで活用度の高い4つのラインをご紹介します。
【ルート】足裏〜ふくらはぎ〜太もも裏〜背中〜後頭部
【主な機能】姿勢保持、前屈・後屈、肩甲骨と骨盤の連動
【指導ポイント】ロールアップ時にここが伸びていないと、代償動作で腰を痛めるケースも。
【ルート】足の甲〜すね〜大腿四頭筋〜腹直筋〜胸部〜顎
【主な機能】反り腰改善、呼吸補助、腹筋群と協働
【指導ポイント】シザーズやティーザーの際、過剰な前もも緊張に気づけるように。
【ルート】くるぶし〜外もも〜腹斜筋〜肋骨外側〜首
【主な機能】バランス保持、側屈動作、股関節外転
【指導ポイント】横向きのサイドキックなどで、肩と骨盤の一直線を保つ意識に有効。
【ルート】右肩〜左骨盤〜膝〜足裏→反対側も同様にクロス
【主な機能】回旋動作、歩行の安定、重心調整
【指導ポイント】ショルダーブリッジで、骨盤の安定と肩甲骨の連動に効果的。
ピラティスインストラクターの強みの一つは「感覚」で動きを見る力。
アナトミートレインを学ぶことで、その感覚に“言語”と“根拠”が加わります。
たとえば、
「なんとなくこの人、背中が動かないな」→浅後線が硬いのかも
「横向きがグラつくな」→ラテラルラインの左右差があるのかも
「お腹が抜ける感じ」→前線と後線のバランスが崩れているかも
こんなふうに、感覚と構造が一致し、
指導に“解剖学的な説得力”が増してくるのです。
結論
ピラティスの動きを、本当に「効果的」に「機能的に」変えていくには、
筋膜のつながり=アナトミートレインの視点が不可欠です。
表面的なアライメントチェックでは見えなかったものが、
“線”で見られるようになることで、解像度が一気に上がります。
そして、あなたの指導力は確実に進化します。
現場で迷ったとき、行き詰まったとき、
「どのラインが引っ張っているのか?」
そう問いかけてみてください。
それが、体の声を聞くということ。
それが、動きの本質を伝えるということです。